映画ルックバックを見てきた感想「原作を魅力的に引き立ててくれる」

藤本タツキ原作の読切作品「ルックバック」がアニメ映画化されました。短い読切でありながら大きな話題になり「このマンガがすごい!2022」オトコ編第1位にもなっています。

私はチェンソーマンから藤本タツキ作品を知ったのですが、ルックバックももちろん読んでいました。

少ないセリフで、キャラクターの表情や動き、コマ割りで丁寧に感情が描写されていて、心動かされる場面や共感できるシーンも多いです。話の構成は凝ったところがあって、丁寧に読んでいれば混乱することないでしょう。

簡単にあらすじをおさらいしておきます。

あらすじ

小学4年生の藤野歩。彼女は周囲から絵の上手さを認められ、学級新聞の4コマ漫画を担当していた。

ある日から4コマの枠を不登校の同級生である京本に半分譲る。そして藤野は京本の描く4コマの画力に圧倒され、自信を取り戻すためにひたすら漫画と絵の勉強を続ける。

2年の月日が経ち小学6年生のある日、京本との圧倒的な画力の差に諦めついに筆を折ってしまう。

小学校卒業式の放課後、卒業証書を京本の家に届けた藤野は初めて彼女と対面する。そして京本から「ずっと4コマのファンだった、サインが欲しい」とせがまれ、再び藤野の気持ちに火が付く。

そして中学以降、二人はタッグを組んでコンビ漫画家として活躍。高校になったころには、出版社から連載の話も進み、ついに漫画家デビューを果たす。

しかし京本は漫画ではなく背景美術の世界に魅せられ美大に進学して別の道を歩み始めた。その大学で京本はとある事件に巻き込まれ、藤野は過去の選択に苛まされていく。

背中を見て前に進む

「ルックバック」のタイトル通り、過去を振り返るシーンや登場人物の背中を追っていくシーンが印象的でした。

とくに藤野はずっと京本の背中(画力の高さ)を追い求めています。一方で京本は藤野の漫画センスに憧れ続けて、半纏の背中にサインをもらいました。互いに背中を追い求めて努力していたところに青春を感じます。

何よりも藤野視点では京本が挫折したきっかけでありながら、彼女の言葉で再び希望を見出していくのです。この時の感情の高まり、大雨の中を小躍りしながら帰路に着く藤野の表現は漫画も映画も秀逸でした。

映画ルックバックの魅力と見どころ

原作漫画を読んだときから思っていましたが、藤野が京本との差を縮めるために一生懸命努力するシーンがとても細かくて見入ってしまいます。

ひたすら机に向かって絵の練習をする藤野の背中、窓の外は季節を巡り、本棚には参考書が徐々に増えていく。この淡々と努力を積み重ねていく過程に心を打たれた人も多いのではないでしょうか。

そして極めつけは、あるときその努力がポッキリと折れてしまうこと。絵の練習ばかりしてのりが悪いことを学友に茶化され、姉から将来性を心配され、そして京本との差はいつまでも縮まらない。ある日、あっさりと漫画を諦めてスケッチブックを処分し、学友たちと放課後遊びに行きます。

一生懸命努力したけど、それを諦めるときは案外あっさりと突然訪れることにリアリティを感じました。


個人的にこの映画でとても良かったのが音楽でした。

haruka nakamuraのようなインストアーティストが好きなこともあり、アニメの世界に入り込みながら音楽にも浸れたのは最高でしたね。

サウンドトラックが配信されているので、作業用BGMなどにおすすめです。

ルックバックの映画本編は50分と短いのですが、それだけ内容が凝縮されていると感じました。原作がこれくらいのボリュームだと、基本忠実に再現されて必要なところに肉付けされるので、映像作品ならではの良さが際立ちます。

映画は割引対象にならず一律1,700円という特別上映ですが、1時間にそれ以上の価値を感じる作品でした。

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